「くだらん話ばかりしてるんじゃない!」
「くだらないものですが、おひとつどうぞ・・・。」
「くだらん」って何がくだらんのじゃと?
これも酒が語源じゃ。
第七話でおはなししたのじゃが、
酒どころの灘・伏見。
もちろん江戸でも酒は造られておった。
しかし、灘の酒に比べ江戸の酒はまずかったそうじゃよ。
そこで灘や伏見から酒を運ばせた。木樽に詰めての。
京都や大阪は都があって、文化が栄えていた。
江戸に対して、京都や大阪の関西圏を上方(かみがた)と呼んだんじゃよ。
当時は酒に限らず、遠方より江戸に持ち込むことを「下りもの」と言った。
灘・伏見でも、品質の劣る酒は、地元で呑まれていた。
江戸には売れない。
つまり、下らぬ酒。「くだらん酒」と言うわけじゃ。
一方、江戸ではそんな高品質の酒に及ばぬため、関東の酒を
「くだらぬ酒」と呼ぶようになったんじゃ。
それからはどんな物にでも、あまり良くないと言う意味で、「くだらん」を使うようになった。
酒は何かと言葉をも創りながら醸されてきたんじゃな。
「くだらない人!」と、言われないように、酒は適量をな。
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